📋 この記事を読んでわかること
- 靴が巻き爪を引き起こすメカニズム
- 「きつい靴」だけでなく「ゆるい靴」も巻き爪の原因になる理由
- 巻き爪になりやすい靴の特徴
- 爪を守る靴の選び方と、正しい履き方
- 巻き爪がすでにある方の、靴とのつきあい方
「深爪はしていないのに、巻き爪になってしまう」
そんなご相談を受けることがあります。爪の切り方に気をつけているのに、なぜ――。その答えの多くは、毎日履いている靴にあります。
巻き爪の原因というと「爪の切りすぎ」がよく知られていますが、実は靴も、同じくらい大きな原因です。今回は、巻き爪と靴の関係に絞って、看護師の視点から詳しく解説します。爪の切り方や基本のセルフケアについては、巻き爪の基本の記事もあわせてご覧ください。
爪は「圧力のバランス」で形が決まる
まず、知っておいていただきたいことがあります。それは、爪はもともと、巻こうとする性質を持っているということです。
爪は、放っておくと少しずつ丸まっていく性質があります。それを平らに保ってくれているのが、歩くときに地面から受ける、下からの力です。
足の指でしっかり地面を踏みしめて歩くと、指の裏から爪を押し上げる力がかかります。この「下から押し上げる力」と「爪が巻こうとする力」がつり合って、爪は健康な形を保っています。
つまり――
- 爪に横から余計な圧力がかかると、爪は巻きやすくなる
- 指で地面を踏みしめられないと、下からの力が減って、やはり爪は巻きやすくなる
このどちらも引き起こすのが、「合わない靴」なのです。
きつい靴が爪を巻かせる(横からの圧迫)
つま先の細い靴・ハイヒール
つま先が細くすぼまった靴は、親指と小指を両側からぎゅっと押し込みます。爪は横から圧迫され続け、少しずつ内側へ巻いていきます。
ヒールの高い靴はさらに、体重がつま先に集中します。横からの圧迫+前への荷重という二重の負担がかかり、巻き爪のリスクはぐっと高まります。
サイズの小さい靴
長さの足りない靴では、いちばん長い指の爪が、靴の先に常に当たります。爪は前と横から押され、変形や巻き込みの原因になります。爪が黒くなる「黒爪」も、この状態でよく起こります。
意外な落とし穴――「ゆるい靴」も爪を巻かせる
「きつい靴が悪いなら、大きめの靴なら安心」と思われがちですが、実はここがいちばんの落とし穴です。
大きすぎる靴の中で、足が前に滑る
ゆるい靴の中では、歩くたびに足が前へ滑ります。行き着く先は、靴のつま先。結局、指先は靴の先端にぶつかり続け、きつい靴と同じように爪が圧迫されます。
指を使わない「すり足」になる
脱げそうな靴・かかとの浮く靴を履いていると、人は無意識に、靴が脱げないような歩き方をします。指を反らせて靴を引っかけたり、足を持ち上げずにすり足になったり。
すると、指で地面を踏みしめる力が使われなくなります。先ほどお話しした「下から爪を押し上げる力」が減り、爪は自分の巻こうとする性質のままに、巻いていってしまうのです。
スリッパ・サンダルばかりの生活も
高齢の方に多いのが、「脱ぎ履きがラクだから」と、一日じゅうスリッパやゆるいサンダルで過ごすケースです。気持ちはとてもよくわかるのですが、かかとが固定されない履き物では、やはり指を使った歩き方ができません。外出が減って歩く量そのものが減ることも重なって、高齢の方の巻き爪の背景には、この「ゆるい履き物+歩行量の減少」がとても多いのです。
巻き爪になりやすい靴・チェックリスト
今お履きの靴を、ぜひ確かめてみてください。
- [ ] つま先が細く、指が両側から押されている
- [ ] ヒールが5cm以上あり、長時間履いている
- [ ] つま先に1cmほどのゆとりが「ない」
- [ ] 逆に、中で足が前後に動くほど大きい
- [ ] かかとがパカパカ浮く
- [ ] ひもや面ファスナーを、ゆるめたまま脱ぎ履きしている
- [ ] 一日の大半を、スリッパやゆるいサンダルで過ごしている
ひとつでも当てはまれば、その靴が爪の負担になっているかもしれません。
爪を守る靴の選び方・履き方
選び方のポイント
- つま先の形:指が自然に広がる、丸みのある形。爪の上にも少し空間があるもの
- サイズ:いちばん長い指の先に約1cmのゆとり。夕方(足が大きい時間帯)に試着を
- かかと:しっかり包まれて、浮かないもの
- 固定:ひも・ベルト・面ファスナーで、甲を留められるもの
サイズの測り方や試着のコツは、足に合う靴の選び方の記事で詳しく解説しています。
履き方のポイント
実は、選び方と同じくらい大切なのが履き方です。
- かかとを、靴のかかとに合わせる(つま先ではなく)
- その状態で、ひも・ベルトをしっかり留める
- 足が靴の中で前に滑らないことを確かめる
せっかく合う靴でも、ひもをゆるめたまま履いていては、ゆるい靴と同じことになってしまいます。「毎回結び直すのは面倒」という方は、結ばずに留められる伸縮ひもや面ファスナーの靴を選ぶのも、良い方法です。
すでに巻き爪がある方へ
すでに巻き爪の痛みがある場合、靴選びはさらに大切になります。
- 患部が当たらない、つま先にゆとりのある靴を選ぶ
- 痛みをかばった歩き方は、他の指やひざ・腰にも負担をかけるため、早めにケアを
- 爪の食い込み・炎症があるときは、靴の工夫だけで様子を見ず、専門家に相談を
巻き爪は、靴を変えるだけで軽くなることもあれば、爪そのものの手当てが必要なこともあります。強い痛み・腫れ・膿がある場合は、皮膚科などの医療機関を受診してください。
看護師からひとこと
足のケアにうかがって爪を見せていただくと、「この方はきっと、こんな靴を履いてこられたのだな」と、爪の形から伝わってくることがあります。爪は、毎日の靴の履歴書のようなものです。
けれど、逆もまた本当です。今日から靴を変えれば、爪への負担も、今日から変わります。爪はゆっくり伸びるものですから、変化もゆっくりですが、足に合う靴で、指を使ってしっかり歩くことは、何よりの巻き爪予防になります。
足元から、爪への負担が、ひとしずくずつ、軽くなりますように。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状が続く場合は医療機関を受診してください。
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