ふと爪が伸びているのに気づいて、その場で切りたくなる――そんな経験はありませんか。
実は「人前で爪を切る」ことへの感覚は、国や文化によって、ずいぶん違うと言われています。今回は、ちょっとした豆知識として、爪切りにまつわるマナーや文化の話を、看護師の視点も交えてお届けします。
海外では「人前の身だしなみ」はタブー視されやすい
欧米をはじめ、多くの国では、爪を切る・髪をとかすといった身だしなみは、人に見えないところで行うものという感覚が、わりと強いと言われています。
爪切りや髪のお手入れは「プライベートな行為(personal grooming)」とされ、人前ですると、無作法・行儀が悪いと受け取られやすいのです。レストランや公共の場で爪を切るのは、特に好まれません。
これは、「身だしなみは整った状態を見せるもので、整える過程は見せないもの」という考え方が、背景にあるとされています。
日本では、どうでしょう
では、日本ではどうかというと、少し事情が複雑です。
公共の場では、日本でもマナー違反
電車の中やオフィスなど、公共の場で爪を切るのは、日本でもマナー違反とされています。爪が飛んだり、音が気になったりして、周りの人に不快感を与えるためです。これは、国を問わず共通する感覚と言えるでしょう。
家庭の中では、比較的おおらか
一方で、家庭の中で、家族の前で爪を切ることについては、日本では比較的おおらかな面があると言われます。リビングでテレビを見ながら爪を切る、といった光景に、あまり抵抗を感じない方も多いのではないでしょうか。
このあたりの「身内の前なら気にしない」という感覚は、海外と比べると、日本のひとつの特徴かもしれません。
「夜に爪を切ってはいけない」?
爪切りにまつわる話で、日本でよく知られているのが、「夜に爪を切ってはいけない」という言い伝えです。
「夜爪(よづめ)を切ると、親の死に目に会えない」――聞いたことのある方も多いと思います。これは、科学的な根拠があるものではなく、昔から伝わる俗信(言い伝え)です。
由来には諸説あり、
- 「夜爪」が「世詰め(よづめ)=寿命が縮む」を連想させる語呂合わせから
- 電気のなかった時代、暗がりで刃物を使うのは危なく、ケガを戒めるため
などと言われています。どれも確かな定説ではありませんが、暮らしの知恵や戒めが、言い伝えのかたちで残ってきたものと考えられます。似たような爪にまつわる言い伝えは、ほかの国や地域にもあるそうです。
マナーとして、爪はどこで切るのがいい?
文化の違いはあれ、共通して言えるのは、爪切りは、基本的にプライベートな空間で行うのがスマートだということです。
- 公共の場(電車・職場・飲食店など)では切らない
- 家庭でも、爪が飛び散らないよう、新聞紙やケースを使う
- 切った爪は、きちんと片づける
ちょっとした心づかいで、自分も周りも気持ちよく過ごせます。
看護師からひとこと
マナーの話をしてきましたが、看護師として、もうひとつだけ。それは、爪は「正しく切る」ことが大切だということです。
深爪をすると、巻き爪や、ばい菌が入る原因になります。とくに足の爪は、角を切り落とさず、四角く整える「スクエアオフ」という切り方が、巻き爪予防になるとされています。
そして、もし「自分ではうまく切れない」「足の爪が硬くて切れない」「巻き爪で痛い」ということがあれば、無理をせず、フットケアの専門家にご相談ください。マナーよく、そして正しく。爪と上手につきあっていきましょう。
足元から、毎日の心地よさが、ひとしずくずつ、整っていきますように。
関連記事
- 正しい爪の切り方|看護師が教える3つのポイントと道具の選び方
- 巻き爪の原因と自宅でできるケア方法|看護師が基本から解説
- 日本人は足を大切にしているか|下駄・草履から考える、足元の文化と今
- 訪問フットケアとは|病院との違い・対象・内容を看護師がわかりやすく解説

コメント