📋 この記事を読んでわかること
- 糖尿病で足のトラブルが起きやすい理由
- 毎日チェックすべき観察ポイント
- 自宅でやっていいケア・避けるべきケア
- すぐに医療機関に相談すべきサイン
「糖尿病と言われたけれど、血糖値さえ気をつけていればいい」
そう思っている方が、まだ多いように感じます。実は糖尿病で最も注意が必要な合併症のひとつが、足のトラブルです。
私が看護師として病棟で関わってきた患者さんの中にも、「ほんの小さな傷」から壊疽(えそ)に進み、足の指や足を失うことになった方がいらっしゃいました。早く気づけば防げたケースが、本当に多いのです。
今回は、糖尿病のある方とそのご家族に、毎日のフットケアでぜひ意識していただきたいことを、看護師の視点でお伝えします。
なぜ糖尿病で足のトラブルが起きやすいのか
糖尿病があると、足には次の3つの変化が重なって起きます。
1. 神経障害(しびれ・感覚の鈍さ)
高血糖が続くと末梢神経がダメージを受け、痛みや熱さを感じにくくなります。靴擦れや低温やけどに気づかず、傷が広がってしまう原因です。
2. 血流障害
血管も傷つきやすくなり、足先まで十分な血液が届きにくくなります。傷が治りにくく、感染しやすい状態です。
3. 免疫力の低下
高血糖は白血球の働きを弱めます。普通なら治る小さな傷が、感染を起こして悪化しやすくなります。
この3つが重なると、「小さな傷が、気づかないうちに、治りにくい状態で、感染を起こす」という非常にやっかいな状況が生まれます。
毎日の観察ポイント
糖尿病のある方は、1日1回、必ず足を見る習慣をつけましょう。お風呂の前や寝る前など、決まったタイミングで行うのがおすすめです。
チェックリスト
| 部位 | 見るポイント |
|---|---|
| 足の裏 | 傷・たこ・水ぶくれ・色の変化 |
| 指の間 | 湿り・ふやけ・ただれ・におい |
| 爪 | 厚み・色・巻き爪・周りの腫れ |
| かかと | ひび割れ・乾燥 |
| 甲・くるぶし | むくみ・赤み・腫れ |
足の裏が自分で見えにくい場合は、鏡を床に置いて映す、またはご家族に見てもらうのがおすすめです。
特に注意したいサイン
- 小さくても傷がある
- 赤く腫れている
- 熱を持っている
- 色が紫・黒っぽい部分がある
- におう
- 指の間がじゅくじゅくしている
ひとつでも当てはまるものがあれば、翌日を待たず、その日のうちに医療機関に相談してください。
自宅でやっていいケア
1. 毎日洗う
- ぬるめのお湯(37〜38℃)で洗う
- 石けんは泡立てて、こすらずやさしく
- 指の間まで丁寧に
- 熱いお湯は厳禁(やけどに気づかないため)
2. しっかり拭く
- 指の間は念入りに
- 湿ったまま放置しない(菌の繁殖を防ぐ)
3. 保湿
- かかと・足の甲は保湿クリームで
- ただし指の間は塗らない(湿気で水虫の原因に)
4. 爪は浅く切らない
- 入浴後の柔らかい時に
- スクエアカット(角を残す)
- 深爪は感染のきっかけに
5. 靴下は毎日交換
- 綿・ウールなど通気性のよい素材を
- 締めつけの強いソックスは避ける
- 縫い目が当たらないものを選ぶ
やってはいけないこと
⚠️ 1. たこ・魚の目を自分で削る
小さな傷から感染が広がるリスクが非常に高いです。専門家にお任せください。
⚠️ 2. 市販の魚の目絆創膏(サリチル酸入り)
健康な皮膚まで傷めてしまい、糖尿病の方には危険です。
⚠️ 3. 湯たんぽ・電気あんかを直接当てる
感覚が鈍くなっているため、低温やけどを起こしても気づきません。タオルを何重にも巻き、足から離して使うこと。
⚠️ 4. 裸足で歩く
畳の上でも、家の中でも、必ず靴下や室内履きを。画鋲・ガラス片など小さな異物を踏んでも気づきにくいためです。
⚠️ 5. 新しい靴をいきなり長時間履く
靴擦れができても気づきにくいので、最初は短時間から慣らしましょう。
⚠️ 6. 自己流の判断で様子見
「これくらいなら大丈夫」が一番危険です。小さな変化でも医療機関へ。
靴の選び方|糖尿病の方に大切なポイント
- つま先に1cm程度のゆとりがある
- 中で足が滑らない
- 縫い目が足に当たらない
- 通気性がよい
- かかとがしっかり支える
- 夕方に試着する(足がむくむ時間帯に合わせる)
ハイヒール・先の尖った靴・サンダルは避けるのが基本です。
🏥 こんなときは「すぐ」医療機関へ
次の症状は、自宅で様子を見るのは危険です。糖尿病内科・皮膚科・形成外科などに連絡してください。
- 傷から膿が出ている
- 足全体が腫れている
- 赤みが広がってきた
- 黒く変色した部分がある
- 強い痛み・しびれが急に出てきた
- 発熱を伴う
「明日でいいか」ではなく、その日のうちが原則です。
ご家族・介護者の方へ
糖尿病の方の足のケアは、ご本人だけでは難しいことがあります。
- 視力が落ちて自分で観察できない
- 体が硬くなって足に手が届かない
- 認知機能の低下で痛みを訴えられない
こうしたとき、ご家族の「毎日見る」習慣が命綱になります。週1回でいいので、入浴介助や着替えの際に、足全体を観察してください。
ご家族の負担が大きい場合は、訪問看護や訪問フットケアという選択肢もあります。医療資格を持つ専門職が定期的にうかがい、爪切り・観察・ケアを行います。
まとめ
糖尿病の方のフットケアで、いちばん大切なのは「毎日見る」ことです。
- 毎日1回、足全体を観察
- ぬるめのお湯で洗い、しっかり拭く
- 自分でたこ・魚の目を削らない
- 小さな変化でも、その日のうちに医療機関へ
「気づいた時には遅かった」を防ぐのは、特別な治療ではなく、毎日の小さな観察です。

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