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「人に爪を切ってもらうのは、こわい」と思っていた方の話

訪問フットケアというと、ご高齢の方のためのもの、というイメージを持たれることが多いかもしれません。けれど実際には、年齢にかかわらず「自分で爪を切るのが難しい」方は少なくありません。今回は、目が不自由な、ご高齢ではない方のお宅にうかがったときのお話です。

目次

「初めてなので、ちょっとこわいです」

その方は、ご自身でほとんどの生活をされている方でした。ただ、足の爪だけは、見えないなかで刃物を扱うことになるため、長く不安を抱えていらっしゃいました。ご家族に頼むのも気をつかう、かといって自分で深爪をしてしまったこともある――そういう状況でした。

訪問してすぐ、その方はこうおっしゃいました。

「人に爪を切ってもらうのは初めてで、ちょっとこわいと思っていました」

刃物が、見えないところで自分の足に触れる。考えてみれば、当然の不安です。私はまず、こわいと感じるのは自然なことだとお伝えして、これから何をするのかを、順番に声に出して説明しました。

「見えない」ことを前提に、ケアを組み立てる

目が不自由な方のケアで大切なのは、次に何が起こるかを、その都度、言葉で伝えることです。

  • これからお湯に足をつけますね
  • 右の親指から始めます
  • いま、爪やすりで整えています
  • 少し冷たいタオルが触れます

見えていれば目で確認できることを、すべて声でお伝えします。突然触れない、無言で進めない。それだけで、こわさはかなり和らぎます。フットケアの技術そのものより、この「予告」の積み重ねが、安心につながります。

「全然こわくなかった」

ケアが終わったあと、その方はこう言ってくださいました。

「全然こわくなかったです。安心して任せられるものなんですね」

この言葉は、私にとってとても大切なものでした。「こわい」と思っていたことを、こわくなかったと言える経験に変えられたこと。それは、爪がきれいになったこと以上に意味があると感じています。

人に体を委ねるのは、誰にとっても少し勇気がいります。まして見えないなかで刃物を扱われるとなれば、なおさらです。その不安を、安心に置き換えるところまでが、フットケアの仕事だと思っています。

フットケアは、年齢に関係なく必要な人に

爪切りやフットケアが必要なのは、ご高齢の方だけではありません。

  • 目が不自由で、足元の作業が難しい方
  • 手や体が思うように動かしにくい方
  • 持病があり、足に傷をつくれない方
  • 巻き爪や肥厚爪で、自分では切れない方

「自分なんかが頼んでいいのかな」とためらわれる方もいますが、必要な人が、必要なケアを受けていいのです。年齢や状況は関係ありません。

おわりに

「人に爪を切ってもらうのは、こわい」。その気持ちは、とても自然なものです。だからこそ、こわさをそのままにせず、安心して任せられる時間に変えていくことを大切にしています。

ご自身やご家族で、足のケアに不安を感じている方がいれば、年齢にかかわらず、お気軽にご相談ください。こわさの正体がわかれば、たいていのことは、こわくなくなります。

足元から、あんしんが、ひとしずくずつ、すこしずつ。

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