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「この爪、変な形だから」と、ひとりで泣いていた女の子の話

巻き爪は、ご高齢の方や立ち仕事の方に多いと思われがちですが、実は10代にもよくあります。今回は、巻き爪の痛みをだれにも言えずにいた、中学生の女の子のお話です。年齢に関係なく、足の悩みは「ひとりで抱えなくていい」ということを、お伝えできればと思います。

目次

「親にも言えなかった」

きっかけは、別のご家族のお宅にうかがっていたときでした。ご高齢の方のケアの合間、世間話のなかで、ご一緒に暮らしているお嬢さま(中学生)の話が出ました。最近、歩き方が少しおかしい、靴を嫌がる、何度聞いても理由を言わない――。心配されたお母さまが、よかったら一度だけでも見てもらえないか、と声をかけてくださいました。

その日、お嬢さんはご在宅でした。最初は、足を見せるのをためらっていました。同席されたお母さまにも、少し外していただき、二人で話す時間を作りました。

少し落ち着いたところで、その子がぽつりと教えてくれました。

「自分の爪、変な形だから……人に見せられないと思ってた」

巻き爪で、親指のふちが赤く腫れ、触れると痛む状態でした。自分の爪が「人と違うおかしなもの」だと思い込み、恥ずかしくて誰にも言えず、痛みを我慢して、ときどきひとりで泣いていた、とのことでした。

「これは、めずらしくないよ」

私がまずお伝えしたのは、治療やケアの説明ではなく、ひとつの事実でした。

「これは巻き爪といって、めずらしいものではないよ。中学生にもよくあるし、ちゃんとよくなるからね」

その子の表情が、少しだけゆるんだのを覚えています。痛みそのものより、「自分だけがおかしい」と思い込んでいたことのほうが、その子を追いつめていたのだと思います。

足の悩みは、外から見えにくく、人とも比べにくいものです。だからこそ「自分だけ」と感じやすく、特に思春期は、人に見せることへの抵抗も強くなります。「めずらしくない」と知るだけで、ほどける緊張があります。

その日にしたこと

その日は、痛みのもとになっていたふちの食い込みを軽くし、爪を負担の少ない形に整えました。深爪をしないこと、靴の選び方、痛みが強いときは皮膚科や形成外科に相談できることもお伝えしました。

特別なことをしたわけではありません。けれど、ケアのあとにその子が小さく「歩いても痛くない」と言ったとき、長く我慢していたものが少し軽くなったのだと感じました。

「言えなかった」を、責めないでほしい

このお話で伝えたいのは、「なぜ早く言わなかったの」ではありません。

子どもが足の痛みを言い出せないのには、理由があります。恥ずかしい、心配をかけたくない、自分が悪いのかもしれないと思ってしまう――。大人でも、足のことは人に言いにくいものです。

ご家族にお願いしたいのは、「歩き方が変」「靴を嫌がる」「同じ靴下ばかり履く」といった小さなサインに気づいたら、責めずに、そっと足を見せてもらうことです。問い詰めるのではなく、「ちょっと見せて」と軽く声をかけるだけで十分です。

おわりに

巻き爪は、年齢に関係なく起こります。そして、ほとんどの場合、適切なケアや治療でよくなります。「自分の爪は変だ」と思い込んで、ひとりで抱える必要はありません。

お子さんでも、大人でも、足のことで困っている方がいたら、どうか「これくらい」と思わずに相談してください。痛みも、不安も、思っているより早く軽くなることが多いのです。

足元から、安心が、ひとしずくずつ、すこしずつ。

※巻き爪で皮膚が化膿している・強く腫れている・痛みが続く場合は、皮膚科・形成外科の受診をおすすめします。

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